兵庫県立美術館で開催されているゴッホ展(ゴッホアライブ)を観てきました。通常の絵画展覧会とは全く異なる取り組み、映像でファン・ゴッホの人生を紹介する企画とのことでしたが、想像がつかず会場に入りました。

 

 

 

会場は20面以上の大きなスクリーンで囲まれるように構築されており、1面1面が独立して映写されています。小鳥が飛び、花びらが舞い、川はおだやかに流れ、そして木々は風にゆらぎます。それらの映像が360度周囲全体で展開されます。ファン・ゴッホが描いていたその地その時にタイムスリップしていたかの体感ができる工夫がされていました。

 

 

映像は時代を分けて構成されていました。色濃く質実な色彩で描いていた母国オランダ時代、印象派の影響を受けてより色彩が鮮やかに変化したパリ時代、想像力と活力にみなぎっていた南仏アルル時代、療養所で治療を受けながらも精力的に活動を積み重ねたサン=レミ時代、そして世間では評価が高まりつつあったにもかかわらず終焉を迎えたオーヴェル=シュル=オワーズ時代。絵画人生を閉じたのが37歳。これらの時代と絵画を体感するでことで、ファン・ゴッホが積み重ねていた地道な努力と工夫がいかにすさまじいレベルであったかをしっかりと認識できました。亡くなって150年と少しの今、観る人を魅了し続けている理由が明確に理解できたことが、このゴッホ展での大きなお土産となりました。感動でした。

※ 展覧会は写真・動画撮影が許可されていました