2023年5月14日(日曜)10時〜西区で開催された、漢方トレーニングセミナーに参加し、腹痛・頭痛・むくみ・疲れ・便秘などの症状の発生メカニズムに対応する漢方薬のはたす役割についての討論を行いました。約30名の参加医師とともに腹部触診を実際に行い、各自経験の交流を図る企画もあり、大学時代以来の実地講習はドキドキものでした。また、触診場面ではセンプククリニック院長の千福貞博先生から、指先で感じることができる漢方(東洋)医学的なコツについての講習も頂きました。

腹痛や頭痛やむくみなどのお悩みの症状は、血液やリンパ液がスムーズに流れなくなることが原因で発生することが多くあります。このような病態を「瘀血(おけつ)」といいます。たとえば、ストレスや食あたりで胃の血流が滞ると胃壁がむくみ、胃が気持ち悪くなったり、胃もたれが生じます。気圧の変化や、飲酒での二日酔いによって、頭や頸部の血流やリンパ流が滞ると頭痛嘔気が生じます。耳の奥の内耳規管がむくむとめまいふらつきが生じます。ぎっくり腰での筋肉障害では血流鬱滞が起こり激しい腰痛が続きます。

このように、瘀血発生部位で症状は異なりますが、どの症状も、瘀血の病態を改善することが、より早い症状の改善には大切です。この瘀血の状態を改善してくれる効果的な薬が漢方薬の中には複数準備されています。各種症状を抑えてくれる西洋薬の内服に加え、瘀血を治す力を持つ漢方薬の内服の組み合わせも、症状の強さや再燃の可能性を考えながら検討することは重要です。