今年の夏は、咽頭炎を中心とした風邪症状のお悩みで来院される方が多かったという印象がありました。当院では、風邪に関連する各症状の対処療法薬を軸に、症状・炎症の程度や肺炎・副鼻腔炎の併存の可能性、糖尿病等の易感染性基礎疾患の有無などを勘案しながら、時には抗生物質の処方も行っております。

2019.8.31(土)16時〜、大阪で開催された大阪感染症セミナーに参加し、大阪市立大学臨床感染制御学の山田康一先生から、風邪症状に対する診断・治療アプローチへの工夫についての講演を聴きました。咳、鼻汁、咽頭痛の症状が同程度の場合、多くがウイルス感染による風邪であり、その場合には抗生物質処方は控えることが勧められます。しかし、鼻汁が膿性で多い場合は細菌性副鼻腔炎の可能性、咽頭痛が顕著な場合は細菌性咽頭線の可能性、咳嗽が強い場合は細菌性気管支炎/肺炎の可能性も念頭におく必要があり、その場合には抗生物質内服も検討する必要があります。  A群溶血性レンサ球菌感染(溶連菌)による咽頭炎の場合は、抗生物質の内服が必要となります。当院では、溶連菌感染の有無を約8分での検出する検査キットを導入しております。咽頭痛や咽頭腫脹が強い患者様の診察の際には、溶連菌検査キットを使用する場合があります。溶連菌感染はお子様からの感染や家族内感染もあり得ますので、検査ご希望の方はお申し出ください。