日本透析医学会が発表している2017年度の統計では、日本で2017年の1年間に新たに透析治療を開始した患者数は約3万9千人。透析が必要なほどに腎臓機能が低下(腎不全)するに至る原因の病気の内訳では糖尿病が第1位で43%と多くを占めています1)。ですから、腎臓機能低下を少しでも予防することを診療目標の一つにおくと、糖尿病を的確に診断し、適切な治療を少しでも早い段階で開始することが重要であることが理解できます。院長はこれまでに数千人の腎不全透析患者様の診療に携わってきた経験から、血糖のコントロールに加えて、血圧の調整、動脈硬化の把握と予防、重症感染予防として足や爪の診療、そして、腎臓以外の臓器障害の予防にも気を配りながら糖尿病診療にあたっています。

2019.8.31(土)17時〜、大阪で開催された腎不全セミナーに参加し、東京大学医学部腎臓・内分泌内科教授の南学正臣先生から、腎臓病進行の予防を念頭においた糖尿病治療対策についての講演を聴きました。日本国内の糖尿病ならびに腎不全データに加えて、世界各国との比較において、患者動向や治療の変動から今後どの点に注目するべきか、詳しく解説いただきました。27万人以上の糖尿病患者さんの解析から、糖尿病を悪化させる危険因子として、①高血糖状態、②高脂質血症、③尿タンパク陽性、④喫煙、⑤高血圧の5つが明らかとなっています。この5つの危険因子は、国や人種差はなく共通したものです。すこしずつの努力の積み重ねが腎不全などの重度の合併症を未然に防ぐことに繋がります。糖尿病かどうか気になっている方はどうぞご相談ください。

https://docs.jsdt.or.jp/overview/file/2017/pdf/3.pdf