失神とは、一過性の意識消失の結果、姿勢が保持できなくなるものの、自然に、かつ完全に意識と症状の回復が見られる場合を意味します。脳全体で一過性の血流低下が発生することが原因です。

2018.11.1(木)20時〜、

心斎橋で開催された不整脈と失神セミナーに参加し、聖マリアンナ医科大学・失神センター長の古川敏行先生から失神の予防と最新治療について講演を聴きました。日常でも時折遭遇しますが、病態を改めて整理する良い機会となりました。

失神の代表的病態として、起立性低血圧と反射性失神があります。立ち上がる際などに意識がうすれたり、めまいやふらつきを感じる場合は、起立性低血圧が考えられます。起立という動作時に瞬時におこるべき交感神経の反射反応が低下するため、脳血流が一過性に低下することが原因です。ゆっくりと立ち上がるがおすすめで、漢方の内服で症状を軽快することも多いです。

長時間起立している際や、痛みや過緊張状態で意識がうすれたり、めまいやふらつきを感じる場合は、反射性失神が考えられます。副交感神経反射が亢進することで、血圧が下がり、脈拍も下がることが原因です。失神の前兆(血の気がひく感じ、ふらふら感、頭痛、嘔気、発汗、あくび、そわそわした感じなど様々です)を感じた場合は、手を強く握ったり、腕に力を入れるなどで防止できる場合があります。また、脱水にならないように普段から気をつけることも大切です。漢方薬が効果を発揮することもあります。

いずれの場合も、血糖や心臓に原因がないかを把握することが大切ですので、血液検査や心電図検査は大切です。当院で検査を行っておりますので、ご相談ください。