2024年4月14日(日曜)9時〜北区で開催された、大阪漢方トレーニング2024に参加し、漢方診療の著書を多数執筆されているセンプククリニック院長の千福貞博先生を囲みながら、大阪府下約20名の医師と症例検討会を行いました。漢方療法で用いる薬は、複数の生薬が様々な割合で配合されて一つの漢方薬が構成されています。その構成生薬の働きを理解すると、病態を改善するために混合されている巧みさに感銘することが多くあります。

例えば、「ニッキ」や「シナモン」として知られている桂皮という生薬。香りが高く、スパイスの王様とも呼ばれます。この桂皮は、体を温め、胃を健康に保ち、心を穏やかにさせ、体表の毒を消し去る作用などがあります。ですから、五苓散というむくみ、めまい、嘔気・嘔吐に効果を発揮する漢方薬には、局所に余分に溜まった水を排泄させる複数の生薬と共にこの桂皮も加えられています。桂皮が入っていることで、局所を温めて血流をよくして、水の調整をより早くさせる、つまり早く治療効果を発揮させる効果をもたらしています。さらにめまいや嘔気などの突発的症状に伴う不安感を軽くさせることで、病状をさらに軽くさせる効果もあると思われます。

この五苓散意外にも冷え症や更年期症候群で治療効果を発揮する桂枝茯苓丸、胃もたれや胃痛に治療効果を発揮する安中散、体がとても疲れた時や、大病や手術の後に体力が低下している時に治療効果を発揮する十全大補湯などにも桂皮が入っています。

様々な診療科の先生からの症例報告で、漢方薬が効果を治療発揮した診療経緯を聴きながら漢方薬の構成成分の働きと照らし合わせると、漢方薬の奥深さと秘めた実力を実感できた4時間の会合でした。

 

 

過去の漢方療法についての情報もご参考ください

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