血圧が高くて心配ではあるが、内服するとずっと続けないといけないと聞くので薬を内服するのをためらっていると話される方に出会うことが多くあります。高い血圧のまま過ごすことは、心臓に大きな負荷がずっとかかっている状態であり、車でいうエンジンが常にフル稼働している状態と同じです。この状態が続くと、エンジンに故障が生じる危険性も高くなるもので、心臓でも同じことが発生することは容易に予想できます。さらに、高い血圧は血管にも負担となり、血管の壁(内皮という内側の膜)に傷を付けます。この傷を核とした炎症によって周囲で血栓を形成し、血栓が流れていくことによって脳などでの梗塞症状発生に関連します。

2021年11月17日(水)に開催された住之江区で開催された医師会学術会議で、大阪大学臨床遺伝子治療学招聘教授の勝谷友宏先生による「新しい日常における高血圧診療」の講演会に参加しました。血圧が高いことに起因する死亡は、日本で年間に10万人と発表されています。この数は、新型コロナで死亡する数の約10倍です。血圧を5mmHgだけ下げるだけで、死亡数を2万人下げることができると報告されています。

ご自身の血圧を把握するには、まずは自宅の安静時の血圧が最も大切な指標となります。高血圧学会が提唱している血圧目標は、74歳以下の方では125/75以下、75歳以上の方で135/85以下です。自宅での血圧測定方法についてのコツは、以前ご紹介しておりますので、ご参考ください。

高血圧を治して脳卒中を防ぎましょう 自宅血圧測定のおすすめ