がん細胞は、食道粘膜の細胞から発生した後に増殖し、時を経ると粘膜の下へと成長し、時に血管やリンパ管内へと浸潤していきます。飲酒、喫煙、野菜・果実の摂取不足、持続的な逆流性食道炎は、食道がんの発生因子との報告があります。

食道がんに対する治療は、内視鏡(胃カメラ下)での治療、外科的手術治療、放射線治療、抗がん剤での治療に大別できます。それら治療の中で、内視鏡での治療は、切除可能範囲内に進行がとどまる早期病変であれば完全切除も可能であることや、治療後の回復が早いこととからも、患者様の満足度が高い治療法です。2021年9月4日(土曜)17時〜web形式で開催されたレーザー光源内視鏡研究会に参加し、早期食道がんの発見を目的とした通常光観察とレーザー光観察の組み合わせ検査について討論を行いました。

早期食道がんの発見には、胃カメラ検査がおすすめです。胃カメラ検査機器の中でも、当院で使用しているレーザー光源搭載の胃カメラでの観察は、粘膜表層での早期がん病変を正常粘膜とは異なる色調として捉えることが可能であり、食道早期がん病変の発見に威力を発揮してくれます。食道が心配で胃カメラ検査をご希望の方は、診察の際にお申し出ください。

写真 当院での胃カメラ検査で発見された早期食道がん。

レーザー光観察により、粘膜の凹凸がほとんどない早期がん病変も、その広がりや境界をより鮮やかに描出してくれます。高度な内視鏡治療に特化している病院との連携治療で、術後1ヶ月で元気に仕事復帰されておられます。