階段で2階へあがると息が切れる、軽い上り坂でも息がきれてしまう、駅へ行くのに歩くと息がきれるのでどうしても自転車を使ってしまう。このような息切れは、COPDと称される慢性閉塞性肺疾患が原因であることを多く経験します。タバコを主とする有害物質によって肺が障害を受けることが主な原因ですが、タバコを中止してからも障害は持続し、後になって発症することもあります。ですから、現在タバコを吸っていなくても、以前の喫煙がCOPD発症の原因となりますので要注意です。

2022年4月16日(土曜)18時〜webで開催された呼吸器と循環器疾患の治療を考える会に参加し、ながや内科院長の永谷憲歳先生の講演、“COPD治療が心筋梗塞・心不全の発症予防にもたらす効果”を聞きました。

息切れを自覚するレベルのCOPD状態の肺からは活性酸素が分泌されます。この活性酸素が全身に流れて行くことで、体のいろいろな血管に動脈硬化を引き起こしてしまいます。実際に、COPDの患者様の約60%に動脈硬化が原因となる高血圧や心不全が併存し、約30%に糖尿病を合併すると報告されています。そして、COPDの病態が適切に治療していないと、交感神経活性が高まり、致命的な不整脈や心筋梗塞の発症へとつながり、不整脈関連死亡や心筋梗塞関連死亡を増加させます。

COPDは、1日に1〜4回の吸入という簡便な治療によって、呼吸状態、酸素状態、心血管状態の安定をもたらすことができます。”息切れがなくなって歩くことが楽しくなった“と治療効果の実感を喜んでいただくことも多くあります。これらの効果の実感は、実際に心臓や血管をいたわることでもあり、生命予後の改善につながります。

COPDの診断にはスパイロメトリー(肺機能検査)が有用です。約5分で完了する簡単な検査で、当院では予約制で検査を行っております。息切れに気づかれている方は、COPDの病態の有無を把握する意味でも、一度はスパイロメトリー(肺機能検査)で、肺機能を把握されることをお薦めします。

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