突然発生する肛門の痛み、大変心配な悩みです。排便時の痛み、ティッシュに血が滲む、座っていても痛むなどの突然の症状は、裂肛(俗名:切れ痔)であることが多くあります。裂肛の原因は、外的要因と虚血要因の2つがあります。外的要因としては、①硬い物(便など)との接触、②下痢による肛門障害があり、虚血要因としては局所炎症、ストレスや不安などが引き起こす内肛門活躍筋の過緊張が挙げられます。どちらの場合も、早期に診断と治療を行うことが大切で、適切な生活習慣指導と適切な軟膏治療、そして便通改善などを総合的に行うことが大切です。
下痢の繰り返しが原因の裂肛では注意が必要です。下痢に含まれる腸液成分が裂肛の傷を深くしてしまい、表面がなおっても炎症が慢性的にくすぶり持続することがあります。この炎症が肛門の緊張を高めて虚血状態としてしまうことで、裂肛と痛みが繰り返されることとなり得ます。当院では、肛門診療を随時行っておりますので、なるべく早い段階で受診されることをお勧めします。
2026.8.29 奈良県橿原市で開催された肛門疾患研究会に参加し、大腸・肛門の疾患を専門とする多数の医師・看護師と意見交換を行いました。また、大阪中央病院外科特別顧問の斎藤徹先生による「裂肛の診断と治療」についての講演を聞きました。
大阪中央病院は、近畿圏だけでなく、日本全国からの肛門疾患の高度医療受入機関として大変重要な役割を担っておられます。斎藤徹先生は、肛門外科チームの設立者・指導者として活躍され、大阪で約50余年間肛門疾患治療に専念されてきた先生です。当院での肛門疾患(痔核、肛門周囲膿瘍、痔瘻、肛門狭窄など)治療においても、大阪中央病院肛門外科チームと連携体制を構築しており、病状に応じて適切なタイミングで紹介受診いただくことが多くあります。これまでに300名を超える当院紹介患者様が、当院での初期対応の後、大阪中央病院で根治手術を受けられています。より適切に治療が始まり、タイミング良く、そしてより良好に肛門疾患が治っていただけるよう、工夫を行っております。