昨年9月に訪れた青蓮院門跡。客殿として用いられている華頂殿から眺める庭園は、清らかで美しく、どちらを向いても絵画の中に自分が存在するような雰囲気を味わいました。前回は紅葉前の訪問でしたので、紅葉後の冬の空気を感じたく、再訪しました。

この日は、晴れときどき曇りの天気。華頂殿に座り、足をのばして庭園を眺めたり、心地よく流れる冷風を感じながら本を読んだりの贅沢な時を1時間ほど過ごしました。太陽が華頂殿に差し込むと庭園と畳空間にコントラストが効いた絵画の1シーンのよう。太陽が陰ると色濃い庭園と畳空間が一体となった絵画の1シーンに。数分毎に転換するシーンを眺めながらの読書、目も心も体も和む贅沢な時間を過ごしました。

客殿内には、生き生きとした蓮にカエルが飛び交う屏風絵が描かれています。木村英輝(Ki-Yan)さんの作。蓮—青の幻想・生命賛歌・極楽浄土とタイトルが付けられているそうです。ロックイベントオーガナイザーとして活躍されていた木村英輝さんは、還暦をきっかけに絵師に転換。音楽で培った躍動感とエネルギーを絵師として我々に届けてくれている方です。庭園からの京都の冷風にもかかわらず寒さを感じなかったのは、木村さんのふすま絵からのエネルギーと空気が融合していたからだったのかも知れません。中庭が新緑の生命力を貯めた時期のふすま絵とのマッチングを次は体験したいと思いました。京都の歴史と木村さんのエネルギーに感謝のひと時でした。

 

2021年訪問記

あざやかな青の蓮を流れる涼風—青蓮院門跡

絵師・木村英輝さんのHPから

〈蓮-青の幻想/生命賛歌/極楽浄土〉