6月以後、40〜57歳の男性の方を対象とした風しん抗体検査(無料)の検査受診が始まり、多くの方が検査に来院されております。その結果、基準値より低い抗体値であった方には、自治体からの補助のもとに風しんワクチンの接種を受けていただいております。また、蒸し暑い季節となり、巻き爪・粉瘤・肛門周囲膿瘍などの炎症で来院される方も多くなっております。そんな中、日曜診療を担当いただいている岩永先生のご紹介で、日本で一番たくさんのソムリエを育てられた田辺由美さんの講演「世界を動かしたワイン」を聞く機会がありました。田辺由美さんを一言で紹介するならば、“ワイン文化を日本で育むことに様々な側面から熱意をもって取り組んでおられる方”と私は表現します。そこで、熱い1時間の講演の中で紹介されていた本、「十勝の宝石—由美ちゃんワイン造るの?」を読んでみました。

田辺さんが2014年から試みられた、山幸という北海道の十勝(池田町)で交配されたブドウから十勝の宝石と称されるワインを作るまでのドキュメンタリーです。発酵・醸造というお酒造りの過程は、決して教科書的には進まない、生き物を扱い、職人が片寄せ合って工夫をこらして、さらに工夫して、ようやく完成するものということが体感できました。土壌の改良から始まり、ブドウの剪定、収穫タイミングの調整、熟成樽の選定、2年にわたる発酵と熟成、コルクの選定、瓶の選定、ラベル作製、濾過と瓶詰。ワインを世に送り出すのに必要な行程がなんと多いこと。これらの過程に携わる人の感性と情熱の結晶がワインとして完成する。ワイン造りの本でありますが、人と人の出会い、情熱の重ね合い、チーム造りの大切さを実感させてくれる本でもあると感じます。2年間の貴重なプロセスをわかりやすい写真とともに本として残していただいたことに感謝します。