未治療のまま経過していると生命に関わる脳心血管疾患(脳出血、心筋梗塞、心不全など)の発生にも繋がる危険がある高血圧。高血圧は心臓だけでなく、脳や大動脈などの血管、腎臓、肺など様々な病気にも関連します。ぜひ、健康診断での血圧の値や自己血圧測定の値を気に留めていただくことをお勧めします。
2025年8月10日、日本高血圧学会―高血圧管理・治療ガイドライン作成委員長の大屋祐輔先生から高血圧治療の重要性についての講演を聴きました。高血圧治療開始のタイミングは、早期に行う有用性を強く訴えておられました。その根拠は、高血圧状態を1ヶ月放置すると脳心血管疾患の発生が12%増加、4ヶ月放置すると23%増加するとのイギリスからの研究報告です。この結果を受けて、日本高血圧学会が2025年8月末に改定予定の高血圧管理・治療ガイドラインでは、これまでは3ヶ月の観察評価期間であったものが、1ヶ月以内に血圧再評価をし治療対策を立てることが推奨されています。
日本のデータ解析(2017年)から、国内の高血圧罹患者は約4300万人とのこと。その中で、血圧コントロールが良好な方はわずか1200万人(有病者の27%)とのこと。主要先進国(カナダ、ドイツ、アメリカなど)の中で、高血圧治療を受けている割合(治療率)はほぼ最下位であることも早期に改善すべき課題となっています。すこしでも早く、すこしでも良好な血圧を維持していただけるよう、診療にあたっております。