夜間などに発作がおこり苦しむことも多い気管支喘息。気管に持続的な炎症やアレルギー反応が起ることで、喘息が誘発されます。禁煙や生活空間の空気清浄に気をつけることは最も大切です。炎症が持続すると、炎症が気管の上皮の浅い層にとどまらず、気管支壁の深い層(平滑筋層)まで及ぶと、平滑筋層が肥厚しリモデリングという構造変化によって、気道の弾力性が失われてきます。そのため、しっかりと呼吸をしたい時に気道が広がりにくくなります。“労作時に息切れがひどくて辛い“という症状は、喘息の持続によってこれらの気道の構造変化が進行している可能性が考えられます。

2021年7月31日(土曜)17時〜webで開催された「慢性気管支炎・気管支喘息の予防と治療」講演会に参加し、大阪市立大学呼吸器内科准教授の金澤博先生から、気管支局所で起っている変化を喘息の慢性病態から考えることをテーマとした講演を聴きました。

気管支喘息の吸入治療薬の発展は目覚ましいものがあります。気管支・気道の炎症を効果的に抑え、気道のリモデリングと呼ばれる構造的な変性を抑えてくれる薬も開発されています。気管支の収縮を抑制して、気道の構造をより良好な状態に保つことにも着目しながら、吸入薬を選択することも大切です。