近年、機能性ディスペプシアという疾患概念が確立してきています。胃もたれや胃痛などの症状が、潰瘍やびらんなどの形態変化によるものではなく、消化管の運動(動き)の不調によって引き起こされる場合、機能性ディスペプシアと診断されることがあります。胃の動きが悪くなっていること、胃の拡張がよくないこと、ストレスによる神経的作用による消化管運動調整障害などが原因の一つといわれています。

2018.1.20(土)17時〜、

上本町で開催された大阪消化器病フォーラムに参加し、兵庫医科大学消化管科准教授の大島忠之先生から、人はなぜ胃がもたれるかについての講演を聴きました。最近の研究では、十二指腸の微細な炎症(好酸球がメディエーターを放出することによるのも一つの原因)が胃の動きを抑制する原因の一つであることが明らかとされ、抗アレルギー薬投与によりメディエーター放出を抑制し、結果的に機能性ディスペプシアの症状が改善した成功例も興味深いお話でした。実際、グルテン、小麦、乳製品やフルーツなどでアレルギー反応が惹起され、粘膜に炎症浮腫がおこり、消化管運動障害と関連することにしばしば直面することがあります。病気の原因が明らかになることは、適切な治療に結びつきますので、さらに研究がすすむことを期待しています。