情報・通信テクノロジーが発達し、多くの情報が瞬時に伝わってくる現在。仕事や社会活動において、それら情報を上手く活かすことで生産性向上につながる反面、過度な情報はストレスとして体に蓄積していき、時には様々な症状や病気の発生につながります。このメカニズムは、皆様に馴染みのある病気でたとえると、日々の糖質エネルギー過多が蓄積して糖尿病が発症することと良く似ているなと感じています。

ストレスを溜め込みすぎると、交感神経と副交感神経のアンバランスにつながり、動悸、息苦しさ、しっかりと眠れない、変な汗が気になるなどの悩みを引き起こします。また、胃や腸の働きもこれらの神経バランスで制御されていることから、ご飯が美味しいと感じない、胃もたれ、胃が張る、むかつき、ちくちくとしたお腹の痛み、下痢や便秘等の消化器症状の誘発にも繋がります。消化管だけではありません。心臓の動きもこれらの神経バランスで制御されていますので、脈が早い、脈が飛ぶ、心臓の鼓動、胸が苦しい等を感じるなどの症状をもたらします。さらに、このようなストレス状態は、心房細動という治療が必要な不整脈疾患の発症にもつながるとされています。ストレスを上手に和らげる方法を習得し、心も体も落ち着いた状態で日常生活を送りたいものです。

2022年8月20日(土曜)18時〜webで開催された第25回OSAKA漢方研究会に参加し、昭和大学生理学講座教授の砂川正隆先生から、不安・ストレスを解き放つ治療についての講演を聞きました。日常生活を快適に送ることを目指した診療と漢方療法について、科学的根拠も交えながらの講演でした。

胃や腸の症状、動悸や胸の症状の改善は、かならずしも胃薬、整腸剤、不整脈剤の内服を必要としない場合もあります。複合的な症状は何が原因となって発生しているのか。その原因の一つとしてストレスがある場合には、それを解消する術を探り、そして、ストレス解消を助けてくれる漢方薬の内服治療も適宜取り入れることで、予想されている以上に体調の改善に繋がってよろこんでいただける場面にしばしば遭遇します。