院長がこれまでに開発に携わってきた細胞治療による肝臓病や膵臓病(糖尿病)に対する再生医療の一部についての総説を、医学雑誌「Frontiers in Haemophilia, 2017. 7」で執筆しました。近畿大学医学部再生機能医学講座の辰巳公平先生との共同執筆で、「肝細胞移植による血友病治療」というタイトルです。

肝臓の機能の一部が欠落することが原因の肝臓病は多数あります。それぞれの欠落機能を補う治療法がない場合もあれば、あったとしても大変高価であるため治療を受けることができない国があったりします。例えば、血友病は、血液凝固因子の第VIII因子または第IX因子の産生が欠落する病気ですが、血液凝固因子製剤を用いる治療は大変高価で、治療を受けることができるのは、全世界の血友病患者さんの約20%といわれています。

肝細胞は肝臓のほとんどの機能を発揮します。ですから、元気な肝細胞を病気の肝臓に注入移植してうまく生着すれば、欠損している機能を補充することができます。現在では、世界のいくつかの先端病院で、様々な重症肝疾患に対しての肝細胞移植治療が行われるようになってきています。これらの概説も含めて、肝細胞移植治療の今後の展望についても記述しています。医学専門雑誌ではありますが、クリニック内マガジンラックでしばらく紹介させていただきます。ご興味の方は、一読いただければ幸いです。