突然、激しい胃の痛みを発生させる胃アニサキス症。アニサキスの幼虫を食事と一緒に食べてしまうと、アニサキスが胃酸におどろき、胃の壁にがぶりと噛みつきます。痛みはかなり激烈なことが多く、しばらくすると一旦治まったりすることもありますが、再度ぶり返す痛みで来院されることも多いです。胃のあたりがはったような症状、強い嘔気、嘔吐などもアニサキスに関連する症状とされています。

アニサキスの幼虫は長さが2-3cm、白色で細長く、くねくねと動きます。サバ、カツオ、イカ、サケ、ニシン、サンマ、アジ、ホッケ、タラ、マスなどに寄生しており、これらのアニサキスが生息している生切り身を加熱や冷凍による殺虫処理をしない状態でたべてしまうと、胃の壁に噛みついて痛みが生じます。これらの魚を食べてから3-12時間で痛みなどの症状が発生した場合は、アニサキスによる胃の痛みを疑っていいかも知れません。胃の壁にかみついたまま放置しておくと、様々なアレルギーを引き起こすこともあります。

まずは、早々に胃カメラ検査を受けられることをおすすめします。本日は、昨晩にヨコワを食べた後に夜間から急な痛みを自覚された方が来院されました。胃カメラ検査にて噛みついているアニサキス幼虫を発見(写真上)し、鉗子で無事摘出となりました。噛みついている周囲の胃は腫れていて、痛みが相当なレベルであることが理解できます。痛みは摘出の翌日にはほぼ消失されたそうです。

発生予防には、しっかりと噛んで食べることが大切です。しかし万一、胃の急な痛みが発生した場合は、ご相談ください。

厚生労働省が公開している注意要項もご参照ください。