年々発症者数が増加している認知症。2024年の時点で、国内で約1,000万人が認知症で悩んでおられます。

話をした内容をすぐ忘れる・食事を食べたこと自体の記憶がない(記憶障害)、日付や時間や場所・知人がわからない(見当識障害)、買い物で必要のないものを買う、お金の支払いが今までのようにうまくできない(理解・判断力障害)などは、認知症の初期症状の可能性があります。もちろん認知症以外でも同様の症状が生じることがありますので、これらの症状に気付かれた際には、脳梗塞・脳出血診断のためのMRI検査や甲状腺機能の血液検査を受けることも大切です。

2024年10月12日、大阪府医師会開催のかかりつけ医認知症診療力向上研修に参加し、認知症進行予防としての診療所の取り組みについての研修を受けました。認知症発症と関連性が高い病気として、高血圧・脂質異常症・糖尿病があります。中年期(一般には45〜65歳頃)にこれらの病気のいずれか一つでも不安定な病状で放置していると、高齢になってからの認知症発生率が高くなります。きちんと治療を受けてコントロールされている方と比較して、そうでない方では認知症発症率が10倍も高くなるという報告がされています。

高血圧・脂質異常症・糖尿病、いずれも初期段階では症状として気付くことはほとんどありません。定期的な健康診断などを通じて、これらの病気がないことを確認したり、万一発症された場合には、日常診療で良好な状態にコントロールされることが、後々の認知症のない健康生活を楽しんでいただくことにとても大切です。